PART2-2 基本スタイルについて

認知症と寄り添う上での悩みについて



PART2 【実際の寄り添い方・基本スタイルについて】




1.実際に寄り添うことの難しさ・・・



春ちゃんの「物忘れ」がどんどんひどくなってきている中で、実際に寄り添うことの難しさをひしひしと感じています。




本当に、難しいのです。




2.普通が、普通でなくなる



毎日、毎日・・・
普通が、普通でなくなってきます。



たとえば、

  1. 「任せておいて!」と調子のいいことを言った先から、ことごとく普通に裏切ってきます。
  2. 約束を破るのも、全く普通です。
  3. 何度言っても、普通に覚えません。



とにかく、


普通が、普通でなくなるのです。

普通じゃないのが、普通になります。

当り前のことが、当たり前ではなくなるんです。


つまりです。



「異常な言動」がまかり通るのが、普通になるのです。




3.このままでは、アカン!



もしもですよ。


もしも、

「異常な言動」がまかり通るような「環境」の中で、ずっと居続けたら・・・


「異常な言動」が普通になる「暮らし」の中に、どっぷりつかってしまったら・・・





どうなると思います?




ホンマに、自分の「人格」がどんどんおかしくなってきます。




ウチは、
ちょっと危機感を覚えました!



そのうち、


ウチ自身も、
異常になるのではないか?


と本当に、真剣に危機感を覚えたからです。





人の「嫌な感情(不安・焦り・イライラ)」が、普通に伝染る(うつる)ように


人の「異常な言動」も、そのうち伝染る(うつる)んじゃないか?



と、思わずぞっとしました。



そやけどです。



春ちゃんに「寄り添う側」のウチ自身が狂ってしまっては、元も子もありません。



4.そこで、「基本スタイル」を確立することにした!



そこでです!



自分が、「発狂」しないようにするために、 



自分の「よすが」(身や心のよりどころとすること)となる「基本スタイル」を確立することにしたんです。



ホンマに、
必要に駆られましてん。



たとえ、春ちゃんの「物忘れ」が、今以上にどんどん酷くなっても、


たとえ、「認知症」の症状が激しく出てきても、



なるべくウチ自身がブレない「基本的な寄り添い方」をしっかりと決めておくことにしました。



何も、万人に通用せずとも、自分だけに通用する「基本スタイル」を考えればいいんだと思ったのです。




5.ちなみに、今現在の「基本スタイル」はこれです!



ちなみに、今現在のウチの「基本スタイル」はこれです。



全部で、8つになります。

  1. 「朝の挨拶」だけは、必ずする
  2. 「ありがとう」をちゃんと言う
  3. 「嫌なこと」をされたら、そっと離れる
  4. 「嫌なこと」は、とにかく忘れる
  5. 「余計なこと」は、ほんまに言わない
  6. 「ダブルスタンダード」をよしとする
  7. とにかく、笑っとく
  8. 「したらアカン」ことだけは、覚えておく



その1.「朝の挨拶」だけは、必ずする


まずは、朝の挨拶だけは、必ずするようにしています。





たとえ、前日に、


どんなに腹立つことがあったとしても、



「おはよう」の挨拶だけはするように心がけているのです。



挨拶をすることで、実感するメリットが、3つほどあります。



まず、


「おはよう」の挨拶には
「リセット作用」がある!


ことです。




前日にどんなに「嫌なこと」があったとしても、


今日の日のスタートを「おはよう」で始めると、


たいがいの「嫌なこと」は、そこでとりあえず「リセット」されることが多いです。


もっと砕けて言えば、春ちゃんとの「いざこざ」がウヤムヤになるんです。



次に、

「リセット」されると
「事態」はそれ以上悪化しない!


ことです。



「嫌なこと」がとりあえずリセットされると、「嫌な事態」もそれ以上悪化しません。



そして、


ものごとの流れも変わる!



ことです。


「嫌なこと」がとりあえずリセットされると、「身のまわりのものごと」の流れもどんどん変わってくるのです。


ほんまに、滞ることなく
スムーズに流れるようになります。



「身のまわりのものごと」がスムーズに流れれば、流れるほど、


「身のまわりの環境や暮らし」がどんどん良い方向へ、よい方向へと流れるようになるんです。




以上の3つのメリットを実感しています。



1日のスタートを「おはよう」挨拶で始まるメリットは、相当なものなのです。はい。



その2.「ありがとう」をちゃんと言う



次に、「ありがとう」をちゃんと言うようにしてます。





春ちゃんが何かしてくれたら、必ず「ありがとう」を先に言うように心がけているのです。



この「ありがとう」の言葉が、春ちゃんの「心」を穏やかなものにします。




また、この言葉は、
自分の為でもあります。



「ありがとう」を言える「余裕」を持つようにすると(意識するだけでも)、


「自分の人格」が腐らないようにブレーキがかかるからです。



やっぱり「礼儀」というのは、相手のためでなく、自分のためでもあるのだと思います。



自分の言動を「あるカタチ」にはめ込む「礼儀」ほど、



自分の感情が
暴走しないように
ブレーキをかけてくれる


ものは、ないんじゃないかと思います。


(この頃、しみじみと感じるのです)



あと、もう一つ思うことがあります。


「ありがとう」という言葉は、


人間でいうなら、ほんまに「律儀な性格」やと思うのです。


解き放つと、後から絶対に「自分の元」に帰ってきます。


ほとんどは、忘れた頃に戻ってきますが、絶対に戻ってくるのです。


ある日、人から突然「ありがとう」を言われる時が必ず来て、とても感動することになります。はい。



その3.「嫌なこと」されたら、そっと離れる



また、「嫌なこと」をされたら、



自分が置かれた状況が許されるのであれば、



その場を、そっと離れるようにしてます。






  • 一人にさせる
  • 一人になる

という状況を物理的につくると、



「お互いが、お互いを刺激しあい、関係性がこれ以上悪化する」のを防ぐことができます。




実を言うと、


この頃の春ちゃんは「自分の突発的な感情」をすぐに忘れるようになってきました。



たとえば、さっきまで「激怒」していたのに、30分後には「その感情」をケロッと忘れているのです。


なので・・・、



ウチがそばをそっと離れて、春ちゃんを「一人にさせる」この方法は、



春ちゃんの精神状態を、いち早くニュートラルに戻す「一番の方法」になっています。



もちろん、


ウチの精神状態を「健全に保つ」方法としても、今のところ抜群です。



その4.「嫌なこと」は、とにかく忘れる



さらに、「嫌なこと」は、とにかく忘れるようにしてます。



なぜなら、「嫌なこと」をいつまでも引きずっていると、ちょっとしたことでも、つい感情的になるからです。



ちなみに、うまく忘れる「ウチのコツ」は、



とにかく思い出さないこと


です。



思い出すから、脳みそにメモリーされるんやと思うのです。


だったら、思い出さなければいいと思います。


そうすれば、記憶として、脳みそに刻み込まれないはずです。


それに、思い出すことを止めれば、そのうち自然と忘れます。



春ちゃんについて言えば、


この頃「物忘れ」がひどくなったせいか、


目の前にある「嫌なこと」の原因が自分自身にあることすら、忘れるようになってきました。



原因が何かすらにも、気にも留めなくなってきているのです。



どんなに暴言を吐いて、ウチを傷つけたとしても、その「暴言を吐いた事実」を普通に忘れます。



なので、春ちゃんの「気まぐれ」でおきる「嫌なこと」をいちいち覚えていたら、



現実の問題として、ウチの身も心も持ちません。



やっぱり、


「嫌なこと」は、
早く忘れたもん(者)が、勝つ


という言葉は、ある意味、真実やと思います。



こうなると、「嫌なこと」は蒸し返さないほうが、「自分の人生」という枠組みで考えると、めっさ賢いのかもしれません。




その5.「余計なこと」は、ほんまに言わない

「嫌なこと」を忘れるついでに、「余計なこと」は言わないようにしてます。


なぜなら、「余計なこと」を言って、嫌な感情をいつまでも引きずるのはウチ自身であることに気づいたからです。



「余計なこと」を言って、春ちゃんをさらに面倒臭い精神状態にさせて、さらに苦しむのは自分なんです。



結局のところ、自分の吐いた「余計なこと」は、「余計なこと」が2倍になって帰って来るんです。はい



その6.「ダブルスタンダード」でも、よしとする


ウチの中で、一番の「画期的な思いつき」は、これでした。


ダブルスタンダード
(二重基準)
でもよし!

ええやん!OKやん!

上等や~~ん! 



とすることです。




たとえば、春ちゃんが平気でする

  • 作り話
  • 妄想
  • 調子のええ話
に、いちいちカリカリするのを止めました。



たしかに、若い頃は「そういうのって、生き方としてどうなんや!」と真剣に反抗したこともあったのですが、


もう、反抗するのも疲れました。



正直なところ、


自制心がなくなり、どんどん「調子のええ話」や「作り話」をする春ちゃんに、根負けしてしまったのかもしれません。



もう、この頃では「そういう生き方も、アリやね!」という「ダブルスタンダード」で、


モヤモヤした自分の気持ちを切り抜けています。



「認知症なんだもの、仕方ないよね」というのもあるんですが、


「人は人、自分は自分」ということが、理解できたような気がしています。


春ちゃんのおかげで「開眼」できました。



その7.とにかく、笑っとく



さらに、春ちゃんといるときは、とにかく「笑っとく」ようにしています。


怒るよりも、「しゃあない」と笑うのです。




まあ、そうなんですが、




この「笑う」ことで、結構、助かっていることがあることに気づきました。





まず、



春ちゃんから「笑顔」を引き出すには、「笑顔」は「最高のアイテム」なのです。


先にこちらが笑えば、春ちゃんはつられて笑うんです。



次に、



「笑顔」は、その場の雰囲気を明るくします。



「笑顔」ほど


その場の雰囲気を
明るくするものは
ないかも?


と、ほんまに実感します。



さらにです。



「笑う行動」が、春ちゃんの「脳みそ」を刺激して、認知機能が活性化されます。


(と、思いたい!)


もちろん、ウチの「脳みそ」も刺激を受けて、活性化されているハズです。


(と、思いたい!)



その8.「したらアカン」ことだけは、覚えておく



最後に、


「してはいけない」ことだけは、いつも心に留めておくようにしてます。



ちなみに、ウチの「してはいけない」こととは、次の3つです。



春ちゃんを

  1. けなす
  2. 叱る
  3. 否定する
ことです。


正直言うと、たしかに「難しい場面」もあります。






そのようなときは、


次のような3つの「悪のプロセス」を想像をして、自分をコントロールするようにしてます。





【悪のプロセス その1

ウチが、春ちゃんを
  • けなす
  • 叱る
  • 否定する
と、これらの言動が「不快な刺激」となるから、やめとく


【悪のプロセス その2】


春ちゃんが「不快な刺激」を受けると、

春ちゃんから、不安・焦り・イライラを引き出すことになるから、やめとく


【悪のプロセス その3】



不安・焦り・イライラの感情が、春ちゃんの「脳みそ」を支配すると

春ちゃんの「脳みそ」がさらに腐って、認知機構が退化し、

ほんで、ますます認知症が悪化するから、やめとく



です。


これをリアルに想像すれば、するほど、


ぎゃ~~~~!
それだけは
アカン~~~~~!



と、「冷静になる自分」が出てくるんです。




というわけで、以上の7つの「基本スタイル」を確立して、ただ今実践しています。




もちろん、日々の春ちゃんの状態も変わりつつあるので、


この「基本のスタイル」は。今後もどんどん変化していくと思います。



最後に・・・



以上、7つの「基本スタイル」をお伝えしました。



これを読んでくださる方へ、何らかのヒントになれば、うれしいです。




「なんだぁ、そんなことぐらい知っているよ!」


と思われた方には、心からお詫び申し上げます。



お役に立つことができなくて、本当にごめんなさい。



期待させて、ごめんなさい。



でも、それだけ「毎日、毎日、本当にいろいろと苦労されて、辛抱されておられるのだ」と拝察いたします。



もっと「いい方法」に出会えることを、ウチ、ほんまに心から祈ってます。